行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、
久しくとどまりたる例(ためし)なし。
世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。(古文より)
現代語訳では、
河の流れは絶えることがなく、しかも、一度流れた河の水というのは、
決して元と同じ水ではない。
流れていない河の淀みに浮かんでいる水の泡(うたかた)も、
瞬間で泡が消えたり、瞬間に泡が出来たりするが、
長く同じ場所に泡が留まっている例などはない。
世の中にある人間と住まいというものも、
河の流れや泡の動きとまた同じようなもの(=絶えず移り変わっていく無常)
である。
長明は無常な世の中にただ絶望するのではなく、
その現実を受け容れながらも自分らしく淡々と生きる
ことの大切さを説いています。
鴨長明自身も一族の権力争いに敗れて、自己の将来に対する落胆と挫折
を経験している。
尚、「方丈記」は声に出して読んだほうがよいそうです。