結果を出すために、マイナス要素になることは
いっさい手を出さなかったと言われる。
ヒールのある靴を履かない、足を冷やさない、冷暖房を
使わない、食事は決まった時間に取る、お酒は飲まない等々。
生活のすべてが結果的にランナーとしての成績につながるから
「今日ぐらいはいいだろう」という気持ちを完全にシャットアウト
していたというから有本さんらしいですね。
ふつうの精神の持ち主であれば、すぐに誘惑に負けて
しまいそうです。
当時の有森さんは、走ることが生きていくための唯一の
手段であり、ランナーとして優秀な結果を残すことだけを
求められるという、厳しい現実があったのです。
だから、人のことより自分のことしか考えないことに
していたので、選手時代はたいへん苦痛であったらしい。
ただ、「こういうつらさも今だけだ」、きちんと実績を
残してから自分らしい人間に戻ればいいんだと自分に
言い聞かせていたのです。
そういう状況に対応できる「チェンジの発想」は、
何事においても必要であり、自分の置かれた現実を冷静に
見ることができるか、できないかで結果も変わります。
自分が変われば解決することがたくさんあります。
現状を変えるには他人ではなく、自分自身が変わること
が大切であると有森さんが熱く語るのです。